日本政府が発行する世界で通用する身分証明書であるパスポート。
海外へ渡航する際に必要なパスポートですが、5年または10年ごとに新しいものに更新しなければならず、更新期限が過ぎてしまったパスポートは使えません。
そのためパスポートの更新が近づいている方の中には、「パスポートの更新はいつからできるの?」「パスポートの更新は有効期限ギリギリでも大丈夫?」と悩んでいる方も多いはずです。
そこで今回は、パスポートの更新で押さえておきたいポイントを解説します。パスポートの更新が近づいている方は、ぜひ参考にしていただければと思います。
※本記事は令和5年3月27日以降に施行される改正旅券法に合わせて執筆しています。
パスポートの更新はいつからできる?

一般渡航者が申請できるパスポートは、「一般旅券5年用(紺色)」と「一般旅券10年用(赤色)」の2種類です。
どちらのパスポートも残存有効期間が1年未満となった時点で更新(切替申請)でき、人によって最適な更新時期は異なります。
また、赴任や留学で長期滞在が決まっている場合、各都道府県のパスポート案内センターに相談すれば早く更新できることもあります。
- 海外渡航の予定がある方:有効期限が切れる半年前の更新がオススメ
- 海外渡航の予定が全くない方:有効期限ギリギリの更新でもOK
パスポートの申請~受領まで1週間かかることや、渡航先によってはビザが必要になるため、有効期限ギリギリで更新すると不測の事態が起きたときに海外渡航の手続きが間に合わなくなる可能性があります。
なお、海外渡航の予定が全くない方はパスポートの更新はせず、海外渡航が決まった段階で新しいパスポートの申請をするのも1つの選択肢です(申請時の必要書類が増えるだけで手数料は同じ)。
※パスポートの残存有効期間は、顔写真が貼られているページの「有効期間満了日/Date of expiry」で確認可能。
補足:「更新」と「切替」の違いはなに?
パスポートの更新を正しくは切替申請と言います。
なぜ切替申請と言うかは、現在のパスポート番号が引き継がれず、新しいパスポート番号に切り替わるからです。
前のパスポート番号でビザ申請や航空券の予約をしていた場合、新しいパスポート番号へ変更する必要があるので十分注意してください。
パスポートの更新前に知っておくべき3つの注意点

パスポート更新前に知っておくべき注意点は下記3つです。
- パスポートの申請~受領まで約1週間かかる
- 残存有効期間が少ないと入国できない国もある
- 更新後は新しいパスポート番号になる
とくに渡航先国が求めている残存有効期間が不足しているために渡航出来なかったというケースは意外と多く、この場合は新しいパスポートが間に合わないので旅行をキャンセルしなければなりません。
できれば海外渡航が決まった段階でパスポートの有効期限を確認し、残存有効期間が少なければ切替申請しておくのが理想です。
1:パスポートの申請~受領まで約1週間かかる
パスポートの申請~受領までは約1週間(土・日・祝・振替休日・年末年始を除く)かかるため、海外渡航の予定がある方はなるべく早めに切替申請することが大切です。
渡航直前に申請すると出発までにパスポートを受け取れない可能性もあり、パスポートが間に合わなければ海外旅行をキャンセルしなければなりません。
こういった理由で旅行のキャンセル料を支払うのは非常にもったいないですし、計画が大きく狂い同伴者にも迷惑をかけてしまいます。
ただし、親族が災害に遭い至急渡航しなければならないなどの特別な理由がある場合、「緊急発給」や「早期発給」に対応している都道府県もあります。
詳しくは各都道府県のパスポート電話案内センターに問い合わせてみてください。
2:残存有効期間が少ないと入国できない国もある
パスポートの有効期限までの残りの日数のことを「残存有効期間」と言い、ほとんどの国では入国に際して必要な残存有効期間を設定しています。
入国目的や滞在期間によって異なるため一概には言えませんが、観光目的の短期滞在であれば3~6ヵ月以上の残存有効期間を必要としている国が多いです。
空港でのチェックイン時に残存有効期間の不足を指摘されて渡航できず、泣く泣く旅行をキャンセルしたという話もよく耳にします。
渡航直前に残存有効期間の少なさに気がついて焦らないためにも、旅行計画を立てる段階で渡航先国が求める残存有効期間をチェックしておくと良いでしょう。
アメリカ(ハワイ含む) | 帰国時まで有効ならOK(推奨は90日以上) |
フランス、イタリア、ノルウェー | 滞在日数+3ヵ月以上 |
オーストラリア | 帰国時まで有効ならOK(推奨は90日以上) |
タイ | 入国時6ヵ月以上 |
台湾 | 滞在予定日数以上 |
韓国 | 入国時3ヵ月以上 |
3:更新後は新しいパスポート番号になる
初めの方でも少し触れましたが、パスポート更新のことを正しくは切替申請と言い、更新後は新しいパスポート番号に切り替わります。
もしも更新前のパスポートでビザ申請や航空券の予約をしていた場合、新しいパスポート番号に変更する必要があります。
とくにビザの変更手続きは時間がかかり面倒なので、変更後のパスポート番号で申請するのがオススメです。
※基本的に航空券やツアーはパスポート番号なしで予約できます。
パスポートの「新規申請」と「切替申請」の方法

パスポートの申請にはいくつか種類がありますが、今回はほとんどの方に当てはまる「新規申請」と「切替申請」について解説していきます。
一般渡航者が申請できるのは「一般旅券5年用(紺色)」と「一般旅券10年用(赤色)」の2種類で、申請日に18歳以上の方であれば5年用・10年用から選択でき、申請日に18歳未満の方は5年用しか選択できません。
残存有効期間が残っている「切替申請」の場合
パスポートの残存有効期間が1年未満となれば切替申請することができ、パスポートを損傷した場合や査証欄の余白がなくなった場合も切替申請となります。
留学や仕事で長期滞在する予定のある方は、残存有効期間が1年以上でも対応してもらえる場合があるため、各都道府県のパスポート電話案内センターに問い合わせてみてください。
切替申請の場合は、基本的に「一般旅券発給申請書」「パスポート用の写真」「有効なパスポート」の3点が揃っていればOKです。
- 一般旅券発給申請書:1通
- パスポート用の写真:1枚
- 有効なパスポート
- 戸籍謄本(氏名や本籍の都道府県名に変更がある場合)
- 住民票の写し(住民登録していない都道府県で申請する場合)
パスポートを受領できるのは年齢に関係なく本人のみとなり、発行後6ヵ月以内に受領しなかった場合は失効するので注意しましょう。
また、ビザ申請時に旧パスポート番号が必要となるケースもあるので、更新後に返却された旧パスポートは捨てずに手元に残しておいたほうがいい良いです。
なお、旅券法令改正に伴い令和5年3月27日から、切替申請の場合は「電子申請」が出来るようになります(受領は本人が出頭する必要があります)。
有効期限が切れた「新規申請」の場合
有効期限が切れてしまったパスポート場合は新規申請となり、基本的に「一般旅券発給申請書」「パスポート用の写真」「戸籍謄本」「本人確認書類」の4点が必要です。
- 一般旅券発給申請書:1通
- 戸籍謄本:1通
- パスポート用の写真:1枚
- 本人確認書類:1点または2点(詳しくは外務省公式HPへ)
- 住民票の写し(住民登録していない都道府県で申請する場合)
必要書類が増える点や電子申請出来ない点を除けば切替申請との違いはなく、パスポート受領までの日数や申請手数料などは切替申請と同じです。
なお、期限切れパスポートは窓口で無効印を押してもらえるので、申請時に持っていくようにしましょう。
新規申請については、「パスポート申請の完全ガイド」の記事を参考にしてみてください。
まとめ:パスポートの更新は余裕を持ってしよう!
今回は、パスポートの更新で押さえておくべきポイントや注意点を解説してきました。
パスポートは残存有効期間が1年未満となった時点で更新でき、人によって最適な更新時期は異なります。
- 海外渡航の予定がある方:有効期限が切れる半年前の更新がオススメ
- 海外渡航の予定が全くない方:有効期限ギリギリの更新でもOK
海外渡航の予定がある方は「有効期限が切れる半年前の更新」、海外渡航が全くない方は「有効期限ギリギリの更新」がオススメです。
なお、海外渡航の予定が全くない方はパスポートの更新はせず、海外渡航が決まった段階で新しいパスポートの申請をしても良いです。
渡航直前に残存有効期間の少なさで焦らないためにも、旅行計画の段階で「パスポートの有効期限」と「渡航先国の求める残存有効期間」をチェックしておきましょう。
5年用・10年用どちらで申請しようか悩んでいる方は、「パスポートは5年・10年どちらで申請すべき?」の記事を参考にしてください。